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脳波検査でも原因不明の症状が改善した症例

  • 亜希 Bucher
  • 6月29日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月8日

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【主訴】

10年前より入眠時に電気ショックのような痙攣が数回生じていたが、2年前からは毎晩、眠れないほど強い電気ショック様の感覚と痙攣が繰り返し起こるようになった。


また、「胃のあたりから火の玉のような感覚が生じ、それが胸を通って左右に広がると痙攣が起こり、さらにその火の玉が脳に達すると光が見える」との自覚症状がある。

最近では、入眠への恐怖感が強くなってきている。


病院では脳検査、血液検査、睡眠検査など色々な検査をしたが異常なし。

精神科を勧められる。


【治療と経過】

「奔豚気(ほんとんき)」の症例として治療を開始。

奔豚気とは、驚いた子豚が奔走するように体内を動き回る異常感覚であり、腎気の乱れが関係しているとされる。腎の陽気が丹田に集まり、下腹部から激しく上へ突き上げるような感覚が特徴である。



◆2024年9月 初診

・かなり強い**陰虚(乾燥タイプ)**の所見あり。

・非常に努力家で、限界に気づかず無理をしがちな傾向が見られるが、前向きな性格。

・陰虚の特徴として、指のささくれやソワソワ感が確認される。


経過:漢方薬の服用を開始し、2か月後には「火の玉」のような症状はほぼ消失。

電気ショック様の感覚や痙攣も1回程度に減少し、大きく改善。

漢方薬は2025年3月まで継続。


◆2025年3月 2回目の問診

・胃から生じる火の玉の感覚は再発していないが、入眠時の痙攣が再び増加したため再診。

・診察の結果、引き続き陰虚の状態が続いていると判断。


経過:不眠、指のささくれ、便秘、ソワソワ感といった陰虚による複合症状に対し、根本的な体質改善を目的とした治療を開始。

自宅でのケアとして、就寝前の足のマッサージやお灸も導入。


◆2025年4月

・入眠時の痙攣が減少し、睡眠の質が向上。

・体調が改善してきたため、本人より「8月には漢方薬を休薬したい」との希望がある。


◆2025年7月

・一時的に症状は落ち着いていたが、再び入眠時の痙攣が増加。

・7〜8月はストレスも少なく、休薬を検討していたが、本人より「漢方薬とお灸は継続したい」との連絡あり。



【私から】

一見、非常に珍しい症状でしたが、丁寧に問診を重ねていくことで、根本的な問題が徐々に明らかになっていきました。


原因不明とされていた「胃から火の玉が発生するような感覚」は、漢方薬の服用から約2か月で完全に消失しました。

ただし、入眠時の痙攣については、現在も一進一退の経過です。


この症状は10年以上前から続いているものであり、回復に時間がかかるのは自然なことです。少し長期的な漢方治療にはなりますが、確実に体全体の状態は整ってきており、今後も改善が期待できます。


当院では、いわゆる「原因不明」と言われるような症状を抱えた方が多く来院されますが、その多くの方が、何らかの形で改善を実感されています。


もし原因がわからないまま「心の問題」とされ、精神科の受診を勧められるような状況であれば、その前にぜひ一度ご相談ください。


西洋医学と東洋医学はそれぞれ得意分野が異なります。検査では捉えきれない不調に対して、東洋医学が力を発揮できる場面も多くあります。

西洋医学だけでは解決が難しい症状でも、視点を変えることで改善の糸口が見つかるかもしれません。





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